星降る夜に願うこと -もちのブログ-

NEWSごとメモ。クラシック音楽寄りな見方してしまうヨ。

花が枯れる前に - 傘をもたない蟻たちは 今更に感想 -

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」

(なんかいいタイミングでお題が出てたので乗っかってみます)

 

いつ書こうかなあと時期をみている間に、三ヶ月半が経過してしまいました。

「傘をもたない蟻たちは」、上梓されて、心の中でとどめてたのをちょっと吐き出しておこうと思います。秋だしね。お花が枯れないうちにね。

 

 

ハッ!あと何回か書いてますけど、わたしすんごくじたんへの愛がおかしいです。ほめ言葉がほめ言葉になってないのです。ご注意くださいね…(ってみんな知ってるか…)


とりあえずつっこみたいのが、『にべもなく、よるべもなく』にあったこの一文…

「そもそも女の気持ちなんていくら考えてもわかるわけなかった」

まあみなさん気づいてらっしゃるでしょうけど、ほう、よう言うたな、と。思いましたね。うん。
ケイスケは同性だから「僕がケイスケを理解してやる」なのに、舞ちゃんだと異性だから「わかるはずもない」と投げたんですよ。まあなんてサイテーなんでしょうね。すきです。(また友達に「じたんの褒め方がヘタクソww」って言われそうだけど )

『にべもなく、よるべもなく』は、『染色』の対…アルバムとかで言うと、アンサーソング的なものかとおもってます。

『染色』で市村くんは「分からない」をひたすらに繰り返して、結局美優ちゃんから離れたわけですが、純は…というかケイスケは「理解なんかしなくていい」と言うんですねえ…
そこに、……なんというか、男女の差、みたいなものが残ってるのか、そしてそれを作者がわかっていて書いているのか…(少なくとも編集さんとかからは指摘があったとおもうのですけど)。
でもそういうことなんだなと。おもうのです。

ほんとしげあきはオンナの扱いが酷い。(褒め言葉)

某パンフでは「俺を振るなんて10年早い」って言うし(しかもブスってアンタ)、フォークダンスで喧嘩してた女友達と手を繋いだら謝ってきたときの対処もヒドイ(先週のらじらーの言い方…)。性描写に関してはなぜかこの単行本から取り沙汰されてますけどピンクとグレーにもあるし、…そしてその都度おもう、全然愛情がない。嬉しそうでもない。ただ機械的だと。「ひとつの装置」とはよく言ったものですよ。そこがすきだけど。
他にも色々この子は女性の扱い酷いなあとおもいます。すきです。何度も言うけど褒め言葉です。

サイテー、が、褒め言葉。こんな作家さん未だかつて見たことないんだけどなあ(個人的に)。
しかしこれってもしかしたら、いや、もしかしなくても、アイドルだからこそ生まれる褒め言葉なのかもしれない、とも思ったのでした。


大竹まことさんと室井佑月さんのラジオで、「野球観戦してビール飲んで盛り上がったあちふと寂しくなる」「車に轢かれてみようか」というようなことを言ってて、ああこの子はほんとうに本質的に、ニンゲンがきらいで、なのに愛して欲しいんだなあ、ワガママだなあ、とおもいました。
それってひとえに芸術家の本性で、いつも何かに飢えてるんですよ。少なくともわたしが付き合ってきた音楽家さんたち(語弊がある言い方だけど単にクラシック音楽のことです)はそうで。
ショパンが愛されるのはきっとそのせいかもしれないなと。ポーランドを愛し、死んだら心臓を持ち帰ってくれと遺言し、好きな人の手紙を持ち歩き、感情の矛先が全部ピアノでしかなかったなんて、そりゃあ女遊びするリストから見たら心配だよね?!ってなる…まあリストも同じだとは思いますが(女遊び酷いしピアニズムは自己顕示欲の塊だし、挙句には出家するし、そういえば彼にとって自国という概念はどうなってるんだろうと思うとショパンとの…っていう以下略)、そしてメンデルスゾーンだと彼が銀行家のボンボンだということもあるのだとおもうのです………芸術の本質は飢えと欲望であって、なににぶつけるか、その捌け口は? というのは人それぞれですけど、ショパンはピアノだったし、『染色』の美優ちゃんだと作品であったし、しげあきなら小説なんだよねえ、という。

 

ちょっと話それましたけど、もう一つ。 

喜びは有限、悲しみは無限。

これ、最初読んだときは、オヤそうなのかな? と疑問符でおもってたけど、ツアーのオーラスを迎えて、また読み返したり自分のこと振り返ったりしてたら、そうか、これだな! って感嘆符になりました。喜びって有限だった。うん。いつも覚えているのは悲しみばかりです。
母もこの話は読んでるのでここについて問うてみたら、「それこそ『理解なんて意味がない』なんじゃないの?(意訳:人によるだろ)」、と言われたあげくに「一番気になったそこではなく根津爺に向けられた『怒り』であった。『ただ出来事として受け入れる』ってそういうことでしょう?!」という、完全に、俺負けた!な答えが返ってきましたけど…マジでうちの母には敵わないなあ…
ムスメはまだ、悲しみが無限であることを受け入れるだけのところにしか立っておりません…ふと見てみたら足元水浸しですよ…

この単行本が出る前のぴあのインタビューで性描写について「そういうものに初めて触れたとき、世界は自分が思っていたものと違うということも書きたかった」と言っちゃってて、もう頭痛い何言ってんのこの子!って当時はなりましたけど。なりましたけど~~~。だってじたんのそういう経験をフィードバックさせた小説読んでこっちはゴロゴロしてるわけで、すんごい背徳的というか倒錯的というか、救えない関係性だと思ったんですよ。笑うしかないけども。

そこには絶望的とも言える明らかな壁があるからこそ楽しめるんであって、接点があったらそこが苦しみでしかなくなるんだなあ、とはおもうのです…音楽家さんたちも故人だからいいけどそのへんにいたらそれこそ市村くんみたいになるわ。こいつの才能ついていけんかもしれんどうしようってなるわ…

でもまあ、わたしのお友達は、ですが、わたしと同じ感じで。
「しげあきには申し訳ないけど満たされないで居て欲しい、そのほうがきっと面白いものが書ける」
と言ってるし、事実あの子が満たされる時なんて来たら、……小説つまんなくなるんだろうな、とはおもってます。つまんないというと上から目線なのですが、エッジが効かなくなりそうというか。いまよく言う『毒っ気』ってやつです…が、なくなりそうというか。
……って、このへんって真性おたくじゃないとわかんないのかもしれないが…いやほんとおたくじゃないとね…こう…より大事なものあるジャン、って言い出すやつ……しげあきの言葉を借りると「理解の境界線」ってやつ…かもしれません(徐々にデクレシェンドする声音)

えーと、まとまらなかった。『染色』と『にべもなく、よるべもなく』の相似点や対の表現とか探し出してたんだけどけっきょく読んでると読んでることに集中してしまうので、頭に残ってることだけを書き出してみました。

 

「そっけなく否定されて、身の置き所がない」

よくできたタイトルです。

ほんに報われないとはおもうのだけど、それこそがアイドルだからこその醍醐味であって、わたしの愛する作家のいちばんいとおしいところであるのだな、と、おもうのでした。

 

「どんな人だか知らないで、勝手に期待して失望して。(中略)王様って偉い人に期待してただけなのに。――本当に、莫迦みたい」
「でも、王様ってそんなものね。みんな勝手に期待して、陽子自身のことなんか考えてもみないで、勝手に失望していくの」 

十二国記『風の万里 黎明の空(下)』より抜粋。

 

 

まあなんとなくですが、最近のしげあきはハタチちょいくらいのときの表情に似てるなあとおもってて、嬉しいです。お花咲いたみたいな。うん。脈絡なくまとめて終わります。

 

 

 

傘をもたない蟻たちは

傘をもたない蟻たちは

 

 

ついでに追記。
ほんとはFREECELL16号についても書きたいなっていまさら思ったんですけど、さすがにちょっとタイムアウトでした。また今度の自分への宿題。です。